6月19日(日)15:05ー16:35
橋梁と堰堤のある風景の審美性を考える-名勝の視座から
■目的
「名勝」は、人々に愛でられてきた風景を文化財として保護する歴史ある仕組みである。この指定基準には、「橋梁、築堤」という項目がある。「史蹟名勝天然記念物保存法」時代の保存要目(1920)から継承されている項目だが、100年を超える名勝のとりくみのなかで、当該基準項目を主たる指定事由とする事例はわずか3件-錦帯橋(1922)、猿橋(1932)、満濃池(2019)-に留まっている。例えば北海道のタウシュベツ川橋梁等、人々を惹きつけている橋梁や堰堤の風景が各地に多々あるが、その風景の美しさを捉える評価軸が定まっていないことが理由のひとつではないかと考えられる。従って、風景を扱う造園学会において回を重ねてきた名勝のミニフォーラムとして、今回は「橋梁と堰堤のある風景」の審美性について考えることを主目的としたい。まず、「橋梁のある風景」「堰堤のある風景」の美とそれを捉えるまなざしについて、各々造詣が深い研究者の話題提供を受けたうえで、今後どのようなこれらの風景を名勝として評価し得るのか、未来に向けた議論を深めていきたい。
■主な参加者と役割
解説 平澤毅(文化庁)-名勝の指定基準項目二「橋梁、築堤」について
話題提供者 岡田昌彰(近畿大学)-橋梁の風景の魅力を語る
話題提供者 村上修一(滋賀県立大学)-堰の風景の魅力を語る
コメンテーター 亀山章(日本自然保護協会理事長)
ディスカッション 黒田乃生(筑波大学)、井原縁(奈良県立大学)ほか